ヘルパンギーナ

この時期になると流行ってくるのがヘルパンギーナ!!

主に乳幼児がかかるウイルス性の疾患です。

高熱と咽頭炎(口腔内に水疱)が出現します。

原因ウイルスはエンテロウイルス属の感染が多く、特にコクサッキーウイルスA型が多いとされています。他にもコクサッキーウイルスB型、エコーウイルスもあります。

(病気がみえる 免疫、膠原病、感染症より)

 

病院では基本的には対症療法(解熱鎮痛、点滴など)で対応します。

 

小さい子の夏の3大感染症(ヘルパンギーナ、咽頭結膜熱(プール熱)、手足口病)なのでご注意を。

 

学校の出席停止基準には入っていませんが、飛沫感染、接触感染、糞口感染があるのでご注意を。

それでは。

Lemierre症候群(killer sore throat)・敗血症性肺塞栓症(septic emboli)

耳鼻科診療をしているとよくある急性感染症の中にも致死的な疾患が隠れていることがあります。

Lemierre 症候群:扁桃・咽頭炎、副鼻腔炎、上気道感染,口腔内常在菌、歯性感染症などから波及する内頸静脈の血栓性静脈炎で、重症敗血症から多発性転移性感染をきたす重篤な全身感染症。

肺に多発性の 敗血症性肺塞栓症(septic emboli)を合併したりするので注意が必要。そのことによる呼吸困難、肝膿瘍、化膿性脊椎炎、脳膿瘍など起こるもあります。

1936年ににフランスの細菌学者レミエール博士が自験例20例をもとに報告したもの

起炎菌は口腔内の常在菌であるFusobacterium necrophorumが圧倒的に多いと言われています。

Sinave の診断基準では

① 先行する嫌気性菌による口腔咽頭部の感染

② 少なくと も1回の血液培養陽性が認められる敗血症

③ 内頸静脈 の感染性血栓症

④ 1ヵ所以上の遠隔感染巣

の4項目 すべてを満たすものとされる

Sinave CP:The Lemierre syndrome.Supppurative thrombophlebitis of the internal juglar vein secondary to oropharyngeal infection.Medicine 1989;68:85―94.

入院で呼吸器内科と共に抗菌薬加療が必要とされる。

また感染性心内膜炎の否定に循環器科でエコーもお願いする。

致死的になりうる疾患なので注意を。

人工内耳-音のある世界を-

人工内耳に関して概略します。

補聴器の効果がない難聴児の耳の代わりとなるものです。

音のない世界に音を生み出す人工内耳。

素晴らしいものではないですか?

(コクレア社のHPより拝借)

通常音は、①の外耳道から入り、鼓膜を振動させ、②の耳小骨に伝わり、③の蝸牛に伝わります。その中の有毛細胞の振動により脳に聴神経を通り信号を送ります。

一方、人工内耳は①②のサウンドプロセッサのマイクロフォンが音を拾い、デジタル信号に変換し、皮膚の下のインプラントに送ります。

それをインプラントが電気インパルスに変換し、蝸牛内の電極アレイに送ります。その電極が聴神経を刺激し、脳に伝えます。

 

以下の3つの会社が有名であり多くのシェアを閉めています。

Cochlear コクレア社

スピーチプロセッサ:Nucleus 6(耳掛け型)/KANSO(コイル一体型)

インプラント:Profile 電極24(アース含む) チャンネル22

MEDEL メドエル社

スピーチプロセッサ:SONNET(耳掛け型)/OPUS(耳掛け型)/RONDO(コイル一体型)

インプラント:CONCERTO 電極(FLEXシリーズ)19 チャンネル12

Advanced Bionics アドバンスト・バイオニクス社

スピーチプロセッサ:ナイーダCI(耳掛け型)/ハーモニー(耳掛け型)/ネプチューン(水泳可能)

インプラント:ハイレゾ90KTM アドバンテージ 電極(ハイフォーカスミッドスカラ、1j) チャンネル16

 

人工内耳の適応に関しては以下の通りです。

成人の場合

  • 裸耳での聴力検査で平均聴力レベル(500Hz、1000Hz、2000Hz)が90dB以上の重度感音難聴 平均聴力レベルが70dB以上、90dB未満で、なおかつ適切な補聴器装用を行った上で、装用下の最高語音明瞭度が50%以下の高度感音難聴
  • 蝸牛に電極が挿入できるスペースがある医学的に全身の問題がなく、手術可能である
  • 言語習得後に失聴の場合両耳聴の実現のため人工内耳の両耳装用が有用な場合にはこれを否定しない
  • 上記以外の場合でも患者の背景を考慮し、適応を総合的に判断する事がある

成人人工内耳適応基準2017 日本耳科学会

小児の場合

  • 原則1歳以上(体重8kg以上)
  • 以下のいずれかに該当する場合
    (1)裸耳での聴力検査で平均聴力レベルが90dB以上
    (2)上記の条件が確認できない場合、6カ月以上の最適な補聴器装用を行った上で、装用下の平均聴力レベルが45dBよりも改善しない場合
    (3)上記の条件が確認できない場合、6カ月以上の最適な補聴器装用を行った上で、装用下の最高語音明瞭度が50%未満の場合
  • 家族の継続的な協力が見込まれる
  • 療育機関との密接な連携が保たれる
  • 両耳聴の実現のために人工内耳の両耳装用が有用な場合にはこれを否定しない

小児人工内耳適応基準2014 日本耳鼻咽喉科学会乳幼児委員会

以前載せた術後の注意点です。

手術してもすぐに聞こえるというわけでは無いんです。

そこから調整・リハビリを繰り返し、自分のものとしていくわけです。

 

最後にyoutubeに人工内耳に関してのものがあったので。

次回は違う観点からまとめていきます。

それでは。

耳鼻科における真菌感染症-外耳道、副鼻腔炎-

耳鼻科における真菌(カビ)の感染症。外耳道真菌症、真菌性副鼻腔炎などありますが、簡単にまとめてみました。

まず、真菌は糸状菌と酵母に分けられます。糸状菌は菌糸状の真菌で長い1本の菌糸が分岐しながら増殖するもので、酵母は丸く単細胞性で出芽や分裂によって増殖するものです。

糸状菌にはアスペルギルス(Aspergillus)、白癬(Trichophyton)、ムコール(Mucor)などがあり、

酵母にはカンジダ(Candida)、クリプトコッカス(Cryptococcus)、トリコスポロン(Trichosporon)などがあります。

採血で細胞壁の成分であるβ-Dグルカンというものが上昇することが多いですが、非侵襲性病変(食道カンジダなど)やクリプトコッカスでは上昇しません。

 

治療薬は以下のようなものが使われます。

(病気がみえる 免疫・膠原病・感染症 より)

 

耳鼻科領域では副鼻腔炎、外耳炎などに真菌が関与することがあります。

真菌性副鼻腔炎の分類は以下のようになっています。

組織に浸潤して致命的になる浸潤性の副鼻腔炎は免疫が落ちている患者に起きやすいことが知られています。また非浸潤性のものは割合が髙く片側に起きることが多いです。癌や歯性副鼻腔炎との鑑別が大切になります。

またアレルギー性真菌性副鼻腔炎(AFRS)の診断基準です。真菌を認めるものの,浸潤性の副鼻腔真菌症のように鼻副鼻腔粘膜への浸潤を認めない点が AFRS の特徴です。

治療も侵襲性では、薬物療法も行いますが、非侵襲性では真菌の除去だけで抗真菌薬は使いません。以下侵襲性アスペルギルス症のフローチャートです。

(深在性真菌症の診断・治療ガイドライン より)

 

外耳炎に関しては、外耳道真菌症で白色粥状などの耳漏が出てくることがあります。糖尿病、免疫不全、ステロイド長期使用中の人などがなりやすいです。

まずは徹底的に洗浄、そして、お薬を使うときもあります。

耳鼻科で処置方法を教えてもらいましょう。

 

参考にガイドライン紹介。

深在性真菌症の診断・治療ガイドライン2014 深在性真菌症のガイドライン作成委員会

以下は2007年度ver。

第1章 深在性真菌症の診断と 治療のフローチャート        耳鼻科分野はP28-29

第2章 深在性真菌症の疫学、 診断法および治療戦略

第3章 深在性真菌症の診断と治療 のフローチャート解説  耳鼻科分野はP118-120

一般医療従事者のための深在性真菌症に対する抗真菌薬使用ガイドライン 日本化学療法学会

医学教育-デブリーフィング-

学生時代に救命サークルで、教育方法とかを学んだことあり、それに関した論文読んだのでご紹介。

元々、Drになる前はケミストリーが好きで学校の先生になろうと思っていました。高校の化学の先生が好きで、授業も引き込まれていくようで、僕にとってカリスマだったんですね。

でも、いつのまにか・・・笑

今医療の世界でも教え方とか、普及とかたくさん研究されてて、そういう学会もあるんです。それに力を注いでいらっしゃる先生もたくさんいます。

僕も何回かご指導いただきました。指導・教育で人ってすごく変わるし、それを実感できるのがよかったです。

この分野を研究されているMassachusetts General HospitalのRudolph先生の論文を紹介します。

デブリーフィングとはある研究や実験を完了した時に被験者に与える説明のことです。

ブリーフィングで目標をたて、シナリオをこなし、最後にデブリーフィングとして、振り返るみたいなものでしょうか。

 

またRudolph先生の言っているFrameとは、、、

もともと人がもっている・考えていること。

これって変えるのはすごく難しいですよね。

指導者が学習者のFrameを理解して、実際のレベルと目標のレベルの差を埋めていくのです。

では実際の例で示してみます。

症例はGUN SHOTだそうです。銃の国、アメリカならではですね・・・・

再掲ですが、下記が4ステップです。

AllenのFrameが変わった!!

少しむずかしいですが、このようなことは日頃自分でもできることだと思います。「ぷちデブリーフィング」を自分で行うことで、自分自身を指導者・学習者にし、成長ができるのではないでしょうか。

また他の有名なものとして、こんな方法もあります。

医学の世界でも教育・指導法などもっと考えていきたいですね。

それでは。

 

遺伝性血管性浮腫(HAE)-え?すごく腫れてる-

耳鼻科診察をしているとまぶたや口びるなどが腫脹している患者さんに会いますよね。

他にも腸がむくんだり、手足がむくんだり、場合によっては、喉がむくんで(喉頭浮腫)、気管切開の緊急手術が必要になることがあります。

血管性浮腫にも色々な種類があります。

血管性浮腫:ドイツの医師クインケが報告したクインケ浮腫ですが、その中にはアレルギー性のもの、高血圧の薬(アンギオテンシン変換酵素阻害薬)によるもの、物理的刺激などありますが、今回は、遺伝性のものについて、まとめてみます。

   (HAE情報センターホームページより)

まずはガイドラインから。日本補体学会が2014年に出したガイドライン。

遺伝性血管性浮腫 (HAE) ガイドライン(改訂 2014 年版) 日本補体学会

 

HAEには3つのタイプがあります

・ I型(HAE全体の85%)常染色体優性遺伝
C1インヒビタータンパク量低値、C1インヒビター活性低値

・ II型(HAE全体の15%)常染色体優性遺伝
C1インヒビタータンパク量正常または上昇、C1インヒビター活性低値

・ III型(稀)エストロゲン依存性、ほとんど女性に発症、病態の詳細は不明であるが、一部には凝固第XII因子の変異を認める。
C1インヒビタータンパク量正常、C1インヒビター活性正常

※家族歴のない孤発例は、HAE全体の約25%に認められているらしいです。

診断のアルゴリズムは以下のよう。

 

(堀内孝彦著「今日の診療サポート」エルゼビア・ジャパン社 より抜粋)

 

C4、C1インヒビター活性でスクリーニングし、

C1インヒビター定量でⅠ型(低値)、Ⅱ型(正常)を鑑別します。

また、後天性血管性浮腫との鑑別は難しいとされていますが、C1qが低値なら後天性血管性浮腫といわれています。※ただし、遺伝性のものでも低値を示すことがある。

そのため、確定診断のためには遺伝子検査をという流れです。

 

治療にはトラネキサム酸、C1インヒビター補充療法(ベリナート)というものなどがあります。

喉頭浮腫で気管切開になる例もあるので本当に注意して下さい。

 

 

こんなサイトもあるみたいです。

医療者向け→  

一般向け→   

 

それでは。

術後抗生剤-抗生剤って何をどれくらい使えばいいの?-

耳鼻咽喉科の手術後にどんな抗生剤を使えばいいんだろう、どれくらいの時間使えばいいんだろうと悩むこと有りますよね。

日本化学療法学会&日本外科感染症学会から発表された指針の耳鼻科の分野をピックアップします。

術後感染予防抗菌薬使用のための実践ガイドライン

このガイドラインの中で耳鼻科の分野を示します。

ほとんどが、セファゾリンでいけますね。

ちなみに創分類はこのガイドラインではこのようになっています。

それでは。

 

亜急性甲状腺炎

耳鼻科でたまに遭遇する疾患。

30歳以上の女性に多く、原因は不明。ウイルスが原因とも言われている。

症状

発熱、有痛性の硬結、圧痛。硬結は甲状腺内を移動する。

検査

採血:赤沈高値、CRP高値、WBC正常、T3・T4の上昇、TSHの低下、Tgの上昇

超音波:境界不明瞭な低エコー

甲状腺シンチ:I摂取率の激減

治療

多くは3ヶ月以内に改善する。

抗炎症剤(ロキソニンなど)、ステロイドなどを用いる。

動悸などが出る場合にはβ遮断薬(インデラルなど)を用いる。

 

甲状腺(喉仏の下あたり)の痛みを感じたら要注意。

 

参考に・・・

 

甲状腺腫瘍腫瘍診療ガイドライン 2010年度版   日本内分泌外科学会・日本甲状腺外科学会

甲状腺癌取扱い規約 第7版 2015年 日本甲状腺外科学会

甲状腺結節取扱い診療ガイドライン 2013 日本甲状腺学会

 

UICC(Union for International Cancer Control)は2017年に第8版が発表され、新しくなっている。甲状腺乳頭癌の分類が45歳から55歳へと変更となっていたりするので、一度ご確認を。

それでは。

鼻・副鼻腔手術

耳鼻咽喉科でよく行われる鼻・副鼻腔手術をまとめました。

鼻づまりを治すため、鼻のなかの鼻中隔というところの曲がりを治す手術。

慢性的な副鼻腔炎などを治す手術などありますが、一般的なものを紹介します。

まずは鼻の解剖について説明します。

副鼻腔には4つの部屋があって、ほっぺに痛みがあったり、重い感じがする時は上顎洞に膿がたまっているかもしれません。

 

手術中に使う器械です。

たくさん種種ありますが、部位によって使い分けていきます。

 

次に手術に関して簡単に説明します。

以上が一般的なものです。

今は内視鏡などが発達して鼻の穴から手術できて傷が残りません。

 

他の亜型などはまた今度。