医療従事者のワクチン接種に関して

毎年秋頃になると、インフルエンザで学級閉鎖しましたなどのニュースが流れてきます。職場でも先行的に職員への接種の案内も来ているのでガイドラインを調べてみました。

医療従事者のためのワクチンガイドライン第2版 一般社団法人 日本環境感染学会

 

B型肝炎、麻疹、風疹、流行性耳下腺炎、水痘、インフルエンザについて書かれているので紹介します。

【B型肝炎】

B型肝炎ウイルスは手術の時の針刺しなどで話題になりますね。血液媒介のウイルスで一番感染力が高いです。ポリクリ始まる前に接種しました。

 

【麻疹、風疹、流行性耳下腺炎(ムンプス)、水痘】

耳鼻科領域だと流行性耳下腺炎(ムンプス)はたまに来院します。

またこちらにQ&Aが載っているようです→こちら

【インフルエンザ】

米国ではワクチン株と流行株とが一致している場合には、65歳以下の健常成人での発症予防効果は70~90%、施設内で生活している高齢者での発症予防効果は30~40%と下がるが、入院や肺炎を防止する効果は50~60%、死亡の予防効果は80%みられたと報告されているらしいです。

Prevention and Control of Influenza. Recommendations of the Advisory Committee on Immunization Practices (ACIP), 2008.MMWR 2008:57(RR-07):1-60
Influenza Vaccination of Health-Care Personnel.Recommendations of the Healthcare Infection Control Practices Advisory Committee (HICPAC) and the Advisory Committee on Immunization Practices (ACIP).MMWR 2006:55(RR-02):1-16

また我が国の研究でも65歳以上の健常な高齢者については約45%の発症を阻止し、約80%の死亡を阻止する効果があったとされているみたいです。

神谷 齊ほか:厚生科学研究費補助金(新興・再興感染症研究事業),総合研究報告書(平成9年~11年度),インフルエンザワクチンの効果に関する研究

 

追補版で髄膜炎菌と破傷風トキソイドも。

【髄膜炎菌】

【破傷風トキソイド】

それでは。

アンチ・ドーピング-東京オリンピックはもうすぐ-

東京オリンピックがもうすぐ開催されますね。
病院にもスポーツ選手にドーピングの薬など問われることあるので、良いサイトを掲載します。

サイトはこちら

医療者もすべての薬は覚えられないので、いい検索サイトがあります。

global DROはこちらへ

ここで検索してください。

また治療でどうしても禁止されている薬を使わなくていけない時は申請しなくてはいけません。このようなものがあるそうです。

TUE(治療使用特例)の承認条件

  • 治療をする上で、使用しないと健康に重大な影響を及ぼすことが予想される
  • 他に代えられる合理的な治療方法がない
  • 使用しても、健康を取り戻す以上に競技力を向上させる効果を生まない
  • ドーピングの副作用に対する治療ではない

それでは。

Harris-Benedictの式-エネルギーはどれくらい摂ればいいの?-

医療者にとっては当たり前すぎる式ですが、一度ご紹介したいと思います。入院中の患者でエネルギーを摂るときなどに参考にしている式です。

つまり、患者の全エネルギー消費量(total energy expenditure : TEE)を求め、それを補うと考えればよいわけです。

投与エネルギーの決め方は次の式のように決めます。

TEE=BEE × activity factor × stress factor

                          (ニュートリー株式会社のHPより)

例えば170cm、70kgの60歳男性、歩行は可能、胆嚢手術後2日目で、臓器障害なし、熱傷なし、体温も正常範囲内とします。

BEEは66.57+13.75×70(kg)+5.0×170(cm)-6.76×60(歳)
=1473.37
となります。
active factorは1.2となり、
stress factorは1.2となります。

TEE=BEE × activity factor × stress factorなので
TEE=1473.37×1.2×1.2=2121.653 Kcal/day

となります。

自分のことですが、11月に食生活アドバイザーの資格試験を受けてから、カロリーとか、栄養素の表示を見るようになりました。
何がどれくらい入っているかとかはもちろんですが、表示の仕方の仕組みがわかり、食品選びが楽しくなりました。

受かっているといいな。

高額医療費-最大払う金額はいくら?-

病気になって医療費を払う場合人によって0-3割払いますよね?例えば3割負担とかでも大手術を行ったときに何百万にもなってしまう・・・そんなときに高額療養費の払い戻しができます。

例えば50歳男性、標準報酬月額55万円の人が大手術を受けたとしましょう。入院費も長期になり、合計で100万円かかりました。3割負担でも30万円のお金がかかってしまいました。貯金をしていたとしてもかなりの家計の負担になります。この場合この男性が払う金額はいくらでしょうか。

(全国健康保険協会・協会けんぽのHP参考)

上の図では②の区分イになり、167400円+(100万円-558000円)×1%=167400円+4420円=171820円となり、かなり医療費が抑えられます。

70歳以上では収入があるかどうかで変わってきます。

そこで医療保険とか考えてみましたが、何に加入するのがいいんでしょうか。
大きな手術なら高額医療費、またがんなどになっても先進医療などの補助があると考えると、本当に必要なのでしょうか。

入院の度に1日1万とか様々な保険ありますが、高額医療費までいかないような数日の入院が多い人にはよいのか・・・などなどいろいろ考えますね。

その人にあった保険というか。

自分の体と相談ですかね?
家族歴、嗜好歴・・・
それと病気の事前確率と。

解無し。

それでは。

医療事務資格-医療費ってどんな風に決まるんだろう-

月末になるとレセプトが来て、入力してってのを毎月やっているのですが、医療事務の職員が期限ギリギリで一生懸命調整してくれます。

医療事務の資格はたくさんありますが、有名なものだと大きく2つでしょうか。調べると何十個もあるみたいですね。

まずメディカルクラークです。一般財団法人の日本医療教育財団が毎月1回実施している試験です。たくさんの資格の中で最もpopularな資格です。
よくユーキャンとかでもやっていますね。

そして最難関の試験が診療報酬請求事務能力認定試験です。公益財団法人の日本医療保険事務協会が年2回実施する試験です。合格率30%の難易度が高い資格みたいです。

時間みつけて勉強してみようかと思います。

栄養ドリンクの成分-リポビタンDを参考にして-

栄養ドリンクの中身って、ぶっちゃけあんまりわかんないですよね。

カフェインを調べたついでに調べてみました。

カフェインに関しての前回記事→こちら

 

ものによってはタウリンとかアルギニンとか高麗人蔘とかあるけど、どうなんでしょうか。

 

なんとなく近くの薬局で有名どこのリポビタンDを買ってみました。

(大正製薬HPより)

 

ビタミンBが多く入っているんですね。

じゃあ、リポビタンDってなんだ?

リボビタンBでも良さそうだけど。

 

wikipediaさんによればこうらしいです。

デリシャスのDと、前製品のCの次ってことですか。

 

ちなみにビタミンBで、

推奨量は、ビタミンB1:推奨1.4mg/day、ビタミンB2:推奨1.6mg/day、ナイアシン(ビタミンB3):推奨15mg/day 上限350(85)mg/day←ニコチンアミド(ニコチン酸)、パントテン酸(かつてビタミンB5と呼ばれていた):目安5mg/day、ビタミンB6:推奨1.4mg/day 上限60mg/day、ビタミンB12:推奨2.4μg/day、葉酸(ビタミンM、ビタミンB9):推奨240μg/day 上限1000μg/day。

 

ニコチン酸アミドもビタミンB3の仲間ですね。

イノシトールもビタミンBの一種とされており、抗脂肪肝ビタミンと呼ばれており、脂肪肝や脂質異常症の治療に使われたり、セロトニンに関わっており鬱などに関わるものとして研究もされているみたいです。

ところで、

実際我々がどれくらいビタミン摂っているかのデータはこんなのがありました。

平成 29 年 国民健康・栄養調査結果の概要

全国民で考えると、少し足りていないんですかね。

僕は足りていそうですが・・・笑

 

あとはカフェイン50mg!!

推奨400mg(カフェインに関しての前回記事→こちら)としたら8本飲める?

いや、飲み過ぎか。

 

そして最後にタウリン。

タウリンは1000mg入っているみたいです。

ポケモンでいえば、攻撃力をあげるものってイメージ。

すっごくmoneyが高かった気が。

タウリンがミトコンドリア病に関係しているっていう論文もあるみたいです。

タウリンは1827年にウシの胆汁から発見されたそうで、ラテン語で雄牛を意味する「taurus タウルス」に由来しているそう。

肝臓や目に良いらしいですが、疲労にはどのように関わっているのでしょうか。

 

何か奥深いようでいろいろ今後も調べてみたいと思います。

それでは。

 

カフェインってどれくらい摂ってもいいの? 

僕の愛飲するモンスターエナジー。

味が一番好きな栄養ドリンクです。

ほぼ毎日飲んでいるんで、カフェイン量とか気になって調べてみると142mgとのこと。これは多いのか、少ないのか、一日どんなもん撮って大丈夫なのか、調べてみました。

 

カフェインの致死量は食品安全委員会(内閣府)によると、、、

カフェインの LD50(半数致死量:化学物質の毒性の指標)は、動物実験の結果を人に当てはめると55kgの人で約 11 g(11000mg)となるそうです。(50kg:10g 55kg:11g 60kg:12g 65kg:13g 70kg:14g)

これは、55kgに人は、モンスターエナジー1本のカフェインが142mg なので、約77本。

さすがにそんなには。

アメリカでは30代の男性が、18時間以内に1缶710ccのレッドブルを24本も飲んでしまったがために、亡くなったそうです。

日本でも2015年に20代男性の死亡例が出ているそうです。

では適正量はどうなんでしょう。

 

1日摂取許容量などは設定されていないようですが、推奨量などは決まっているそうです。

こちら

ちなみに厚生労働省の見解もよかったらどうぞ。

 

飲み過ぎには注意したいと思います。

それでは。

小児にCT撮って大丈夫?

結構小児の親から「CTって被爆多いんでしょ、がんとかならないの?」とか聞かれます。

医療では必要な検査を行っており、検査で得られる利益は、検査の不利益よりも遙かに大きい

仮に検査で異常なかったら、無駄な検査だったとかでなく、何もなくてよかったと考えることができます。

どうなっているかまとめてみました。

 

WHOからこんなものが出ています・

小児画像診断における 放射線被ばくリスクの伝え方   WHO

ヒトの年間平均放射線被ばく量は、1 人あたり約3mSv/ 年だそうです。

そのうち自然被爆は約2.4mSv、医療による被爆は約0.6mSvです。

頭部CTに関しては1回あたり成人約2.0mSv(胸部Xp100回分)に対し、新生児は約6.0mSv(胸部Xp200回分)、1才児は約3.7mSv(胸部Xp185回分)だそうです。

メリット・デメリットを考えて撮影したいですね。

 

また頭部外傷ではこんなものもあるみたいです。

Head injury: assessment and early management

 

では、それでは。

日本人の食事摂取基準-炭水化物ってどんなもんとれば良い?-

炭水化物ダイエットが流行っていますが、食事摂取でどれぐらい必要かなど調べてみました。

日本人の食事摂取基準(2015年度版)

現在2020年度版を策定中らしいが、2015年度のデータを抜粋してみます。

エネルギー(kcal/day)

たんぱく質(g/day)

脂質(%エネルギー)

炭水化物(%エネルギー)

またこれらの3大栄養素の栄養素のバランスは以下となっています。たんぱく質、炭水化物は4kcal/g、脂質は9kcal/gのエネルギーとなります。

炭水化物の割合は推奨では50-65%となっていますね。

あとで示しますが、いろんな論文が出ていて、議論があるみたいですね。

2020年度版もどのように改定されるか楽しみです。

食物繊維(g/day)

ビタミン脂溶性ビタミンのビタミンA、ビタミンD、ビタミンE、ビタミンK、水溶性ビタミンのビタミンB1、ビタミンB2、ナイアシン(ビタミンB3)、ビタミンB6、ビタミンB12、葉酸(ビタミンM、ビタミンB9)、パントテン酸(かつてビタミンB5と呼ばれていた)、ビタミンCの基準も載っています。

ミネラル多量ミネラルのナトリウム(食塩相当量)、カリウム、カルシウム、マグネシウム、リン、微量ミネラルの鉄、亜鉛、銅、マンガン、ヨウ素、セレン、クロム、モリブデンも載っています。

参考に例えば30歳の男性がどれくらいとればいいのかを列挙します。

エネルギー:2650kcal/day

たんぱく質:60g/day

脂質:20-30%エネルギー 飽和脂肪酸:7%エネルギー以下 n-6系脂肪酸:10g/day n-3系脂肪酸:2.1g/day

炭水化物:50-65%エネルギー

食物繊維:20g/day以上

脂溶性ビタミン

ビタミンA:推奨900μgRAE/day 上限2700μgRAE/day

ビタミンD:目安5.5μg/day 上限100μg/day

ビタミンE:目安6.5mg/day 上限900mg/day

ビタミンK:目安150μg/day

水溶性ビタミン

ビタミンB1:推奨1.4mg/day

ビタミンB2:推奨1.6mg/day

ナイアシン(ビタミンB3):推奨15mg/day 上限350(85)mg/day←ニコチンアミド(ニコチン酸)

ビタミンB6:推奨1.4mg/day 上限60mg/day

ビタミンB12:推奨2.4μg/day

葉酸(ビタミンM、ビタミンB9):推奨240μg/day 上限1000μg/day

パントテン酸(かつてビタミンB5と呼ばれていた):目安5mg/day

ビタミンC:推奨100mg/day

多量ミネラル

ナトリウム:食塩相当量8.0g未満

カリウム:目安2500mg/day 目標3000mg/day

カルシウム:推奨650mg/day 上限2500mg/day

マグネシウム:推奨370mg/day

リン:目安1000mg/day 上限3000mg/day

微量ミネラル

鉄:推奨7.5mg/day 上限55mg/day

亜鉛:推奨10mg/day 上限45mg/day

銅:推奨1.0mg/day 上限10mg/day

 

2017年にLancetから出た論文が議論になっていますね。

決して炭水化物ダイエットの内容ではないですが・・・

食生活アドバイザーっていう資格もあるみたいですね。

これを気にラーメン三昧の自分の食生活を見直してみようと思います。

それでは。

薬剤耐性菌-いつか菌に支配される?-

患者「先生、風邪ひいたんでで、抗菌薬ください」

こうゆう患者さんは外来やっててたくさん来ます。

詳細は今回は載せませんが、一般的に風邪って抗菌薬が効きません。風邪はウイルスで風邪のウイルスに効く薬はないんです。それに医者は自分自身で、風邪で抗生剤は飲みません。対症療法しかできません。

しかし、実際は抗生剤が出されている現実、また間違った使い方をしている現実、、、このことが薬剤耐性菌を生むことになるのです。

新聞には耐性菌のことがよく載っていますね。

新しい抗菌薬が開発されると耐性菌が生まれ、それに対する抗菌薬が開発され・・・のいたちごっこ。

スーパー耐性菌「 MCR-1 」というものが出てきて、最強の抗生剤と言われているコリスチン(オルドレブ)でも効かなくなっている。

いつかは菌に人間がやられてしまう日が来てしまうのだろうか。

2050年には耐性菌による死亡が悪性腫瘍を超えると言われている。

(厚生労働省 人口動態統計月報年計(概数)の概況より)

 

そのために、耐性菌を生まないように医療者・患者ともに努力していなければならない。

薬剤体積んが増える理由は

①同じ薬剤の長期間投与

多数の感受性株が駆逐されて耐性株が残る→耐性菌発生率が増加

②薬剤の低濃度投与

病原菌が抗菌薬に徐々に慣れる→細菌や耐性を獲得しやすい環境となる

③治療直前での薬剤中止

感染症再発→耐性菌出現の恐れ

 

患者は医療のリテラシーをあげること!

医療者は適切に抗菌薬を使うこと!