小児にCT撮って大丈夫?

結構小児の親から「CTって被爆多いんでしょ、がんとかならないの?」とか聞かれます。

医療では必要な検査を行っており、検査で得られる利益は、検査の不利益よりも遙かに大きい

仮に検査で異常なかったら、無駄な検査だったとかでなく、何もなくてよかったと考えることができます。

どうなっているかまとめてみました。

 

WHOからこんなものが出ています・

小児画像診断における 放射線被ばくリスクの伝え方   WHO

ヒトの年間平均放射線被ばく量は、1 人あたり約3mSv/ 年だそうです。

そのうち自然被爆は約2.4mSv、医療による被爆は約0.6mSvです。

頭部CTに関しては1回あたり成人約2.0mSv(胸部Xp100回分)に対し、新生児は約6.0mSv(胸部Xp200回分)、1才児は約3.7mSv(胸部Xp185回分)だそうです。

メリット・デメリットを考えて撮影したいですね。

 

また頭部外傷ではこんなものもあるみたいです。

Head injury: assessment and early management

 

では、それでは。

小児に全身麻酔ってどうなの?風邪ひいていたら延期?

結構小児の親から「全身麻酔、小さい子に大丈夫?」とか聞かれます。

また小児は風邪とかで全身麻酔かけられなく延期してしまうことも多いんですね。

小児中心に周術期の管理に関してどうなっているのでしょうか。

WHOから安全な手術のためのガイドラインが出ています。

WHO 安全な手術のためのガイドライン2009 日本麻酔科学会

 

術前2週間以内の風邪既往は術前2日以内の風邪症状の有無にかかわらず、術中呼吸器系合併症を増加させるそうです。

小児”かぜ症候群”と全身麻酔 飯田 1994

 

小さい子に全身麻酔をかけるかどうかも論文で論じていることもたくさんありますが、手術や麻酔によるメリット・デメリットを考えて行うこということでしょうか。

 

小児はもちろんタバコは吸いませんが、大人の手術の周術期のタバコに関してのガイドラインも載せておきます。

周術期禁煙ガイドライン2015 追補 日本麻酔科学会

 

10 項目の認識の確立が重要なポイントを載せます。

① 喫煙で種々の周術期合併症は増加し、術後の回復が遅延する。

② 術前患者には喫煙の有無を確認し、喫煙者には禁煙の意義と目的を理解させ、禁煙を促す。

③ 手術前のいつの時点からでも禁煙を開始することは意義がある。

④ 手術直前の禁煙でも周術期合併症の増加はみられない。

⑤ 可能な限り長期の術前禁煙は、周術期合併症をより減少させる。

⑥ 受動喫煙も能動喫煙と同様に手術患者に悪影響を及ぼす。

⑦ 敷地内禁煙などの無煙環境の確立は重要である。

⑧ 禁煙指導は術前禁煙を促進し、術後の再喫煙率を低下させる。

⑨ 周術期禁煙を契機とし、生涯の禁煙を目標にする。

⑩ 周術期医療チームや外科系医師、禁煙外来など他科や他職種と協同して周術期禁煙を推進する。

 

それでは、また次回。

繊維素性唾液腺炎-Kussmaul病-

これは1879年にアドルフ・クスマウルが報告した疾患です。

クスマウルは結節性多発動脈炎、クスマウル呼吸などで有名ですね。

反復性の唾液腺腫脹唾液管から線維素塊やゼリー様物質が排出されることを特徴とする疾患です。

明確な診断基準はなく、村上らの提唱した診断手引きが用いられることが多い。

(参考論文)

繊維素性唾液管炎の3例 大塚ら 口咽科 2017

小児の繊維素性唾液管炎(Kussmaul病)の1例 土屋ら 口咽科 2012

あまり見られない疾患ですが、鑑別あげられるようにしておきましょう。

 

それでは、また次回。