終末期医療-人生のラストページ-

耳鼻科でも終末期医療を扱う科として、大きな選択を迫られる時が多い。

末期の患者さんが今後どう過ごすか、何を大切にして行きていくか・・・

それと同時に医療者もどのような提案ができるか。

答えは一つではないし、ガイドラインで決められるものではないですが、興味のある人は見てみてください。

 

厚生労働省

「人生の最終段階における医療・ケアの 決定プロセスに関するガイドライン」 

人生の最終段階における医療・ケアの 決定プロセスに関するガイドライン 解説編

 

日本医師会

終末期医療に関するガイドライン

超高齢社会と終末期医療

 

全日本病院協会

終末期医療に関するガイドライン

 

日本救急医学会・日本集中治療医学会・日本循環器学会

救急・集中治療における終末期医療に関するガイドライン〜3学会からの提言〜

 

日本小児科学会

重篤な疾患を持つ子どもの 医療をめぐる話し合いのガイドライン

 

また疼痛管理、輸液、副作用などに関しても日本緩和医療学会からガイドラインが出ています。

日本緩和医療学会→こちら

がん疼痛、鎮静、消化器、呼吸器、輸液、泌尿器、補完代替医療、患者・家族ガイド

があります。

 

また医療者は緩和ケアに関しても講習をうけ、最適な医療を提供できるように学ぶ研修会もあります。

PEACE PROJECT 

緩和ケア講習会の資料もダウンロードできます。テキスト

 

それでは。

熱中症・経口補水液・電解質なども含めて

2018年7月は日本で過去最高の気温を記録したことでも有名で、今回は熱中症、また脱水に伴って、電解質に関してもちょこちょこまとめてみました。

最高気温ランキング!!

(気象庁HPより)

すごいですよね・・・トップ10に今年だけで3つも新記録が・・・・!!

 

熱中症のガイドラインも出ています。

日本救急学会が出しているガイドラインです。

熱中症診療ガイドライン2015 日本救急学会

 

ここでは熱中症の分類と治療も表になって載っています。

 

 

●脱水には水分だけでなく、電解質の補給も。

そもそも脱水のときは水分だけでなく、電解質(NaやKなど)も失われています。電解質も補給する必要がある。

 

●糖も補給する。

小腸でブドウ糖:ナトリウム=1:1で吸収される。

ブドウ糖濃度1-2.5%が水吸収の至適濃度 (slanden and Dawson 1969)

Na+とブドウ糖のモル濃度比が1:1-2が水吸収の至適 (Santosham 1982)

血清浸透圧より低いほうが水・電解質の吸収が良い (Hunt 1992)

→Na+とブドウ糖のモル濃度比が1:1-2 かつ 血清浸透圧より低い のがベスト

(谷口 2015)

ポカリスウェットとかは美味しいけど、糖が多く、浸透圧が高いということかな。

かといって、昔サッカーやってる時みたいにポカリを薄めて薄めて薄めて飲むのは糖は希釈されるけど、Naも希釈されて、バランス悪くなると考えると、、、、

 

環境省のホームページにも熱中症など詳しくあるのでよかったらぜひ。

環境省ホームページ 熱中症予防サイト

暑さ指数(WBGT)に関し詳しく載っています。

また熱中症環境保健マニュアル2018はこちら→クリック

医学教育-デブリーフィング-

学生時代に救命サークルで、教育方法とかを学んだことあり、それに関した論文読んだのでご紹介。

元々、Drになる前はケミストリーが好きで学校の先生になろうと思っていました。高校の化学の先生が好きで、授業も引き込まれていくようで、僕にとってカリスマだったんですね。

でも、いつのまにか・・・笑

今医療の世界でも教え方とか、普及とかたくさん研究されてて、そういう学会もあるんです。それに力を注いでいらっしゃる先生もたくさんいます。

僕も何回かご指導いただきました。指導・教育で人ってすごく変わるし、それを実感できるのがよかったです。

この分野を研究されているMassachusetts General HospitalのRudolph先生の論文を紹介します。

デブリーフィングとはある研究や実験を完了した時に被験者に与える説明のことです。

ブリーフィングで目標をたて、シナリオをこなし、最後にデブリーフィングとして、振り返るみたいなものでしょうか。

 

またRudolph先生の言っているFrameとは、、、

もともと人がもっている・考えていること。

これって変えるのはすごく難しいですよね。

指導者が学習者のFrameを理解して、実際のレベルと目標のレベルの差を埋めていくのです。

では実際の例で示してみます。

症例はGUN SHOTだそうです。銃の国、アメリカならではですね・・・・

再掲ですが、下記が4ステップです。

AllenのFrameが変わった!!

少しむずかしいですが、このようなことは日頃自分でもできることだと思います。「ぷちデブリーフィング」を自分で行うことで、自分自身を指導者・学習者にし、成長ができるのではないでしょうか。

また他の有名なものとして、こんな方法もあります。

医学の世界でも教育・指導法などもっと考えていきたいですね。

それでは。

 

医学教育とその連鎖

3月6日に今の病院の同期研修医・看護師と付属看護学校の救命サークルとで合同勉強会を開催!!

自分たちが大学4年の時に開いた全国規模のWSのノウハウをちょこっと使って。

 

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懐かしいな。

http://profile.ameba.jp/fhu-task-friendz/

あの時は1年以上も毎日みんなで議論して悩んで最高のものをつくりあげようとして努力したなぁ・・・

 

今回は折角付属看護学校があるんだからコラボしようと。

自分たちが学生の時には臨床をもっと知りたいとずっと思っていた。しかし、その機会が少なかった。付属の学生にアンケートとって、何を知りたいか何を学びたいかを聞いたらやっぱ僕らが学生の時思っていたことと同じことを望んでいるのだと。

なるべく学生の意向に沿う形で学生の役に立ち、僕らも学ばせてもらういいきっかけになった勉強会でした。

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今回は小規模だったけど、アットホームで素敵な雰囲気でした。

あのときの学生の気持ちを忘れないように、頑張っていきたいと思った1日でした。

向かってくる死

「良寛って知ってるか?」僕が黒岩理事長から言われた言葉である。何となく、聞いたことはあるもののどのような人かは全然知らなかった。

研修医時代には必ず地域医療を学ぶ機会がある。僕は新潟南魚沼市に実習に来た。普段研修では救急医療・先進医療など高度な医療に触れていることから考えれば、地域での医療は新鮮だった。現在の私に取り巻く環境の医療というと、生にこだわり、死から遠ざけることに焦点が当てられていると思う。確かに緩和医療やホスピスなどの言葉は聞くが、あまり関わったことのない分野であった。それをこの南魚沼では多く感じ、考えることができた。

南魚沼は全国的にも高齢化が進んでおり、全国平均よりも5%以上高い水準となっている。研修させていただいている萌気園は20弱のグループがあり、その中に診療所をはじめ、多くの介護施設、グループホーム、デイケアなどがある。その中でたくさんの人に出会い、たくさんのお話を聞くことができた。人は必ず死ぬものであり、死から遠ざけることを考えるのではなく、どのように死を受け入れるか、など多くのことを考えるきっかけになった。

長岡西病院にビハーラ病棟という所がある。大きな枠で言えばガンと診断された人しか入所できない、末期患者の緩和医療病棟である。はじめに入って驚いたのは、病棟の中に仏像があったことだ。日本に3つそのような病棟があるのだという。そしてお坊さんによるお経がはじまり、患者さんたちは一緒にお経を唱えている。いささか顔が和んでいるような印象を受ける。院長先生によると、夜中に不穏になってしまう患者が夕方のお経を聞いた日にはゆっくりとお休みになられるってこともあるそうである。やはりその心の拠り所であるものをどこに見出すか、どのように死を受け入れていくか、などを真剣に地域全体で考えている所であると感じた。

この度、黒岩理事長に薦められて、「楢山節考」・「納棺夫日記」という本を読んだ。「楢山節考」は姨捨山の話、「納棺夫日記」は映画でも有名になった「おくりびと」のモデルとして有名な本である。特に納棺夫日記には納棺をする職業のことを通し、感じた作者の死生観、また仏教(浄土真宗)に関しての記述がたくさんあった。その後、気になって、映画「おくりびと」を借りて見てみた。映画では納棺する人物に焦点が当てられており、またヒューマン・ドラマになっており、作者の青木新門さん意図したものとは違うと感じてしまったが。本と映画では全く別の作品であると感じた。

現在の医療現場でも感じる生への執着。生命維持装置をつけ、生と死の狭間を彷徨っている。本人・家族が何としてでも1分1秒でも生きたいと考えているか、それか安らかな死を迎えたいかはわからない。DNARといって生前に自分の生き様を宣言しておくことは大切であると思う。また死に関しての受容はひとそれぞれであり、それが宗教に頼ったり、仏、キリストに頼ることなのかもしれない。この青木新門さんの本を通して浄土真宗・親鸞の教えをわかりやすく知ることができた。あまり仏教に関して勉強したことはないが、この本は親鸞の教えを知るには最高にわかりやすかった。

南魚沼での経験・読書を通して人間が必ず出会う死に関して多少なりとも考える機会になった。死ぬ直前まで自分なりの答えは出ないような気もするけれど永遠の課題として考えて見ようとも思った。

うおぬま・米ねっと

現在の研修制度では地域での医療を学ぶ機会が与えられている。研修病院によって異なるが、1ヶ月ほど北海道、新潟、地域医師会などで学ばせてもらう。

僕が、実習させていただいた新潟魚沼地域では次のような取り組みがあった。

 

魚沼医療圏で地域での医療をサポートする仕組みとして「うおぬま・米ねっと」(http://www.uonuma-mynet.org/)という試みがH26.4月からはじまった。事前申し込みで無料のサービスである。

十日町市、魚沼市、南魚沼市、湯沢町、津南町にある病院、診療所、薬局のうち、米ねっとに参加している施設と市町で診療情報が共有される。

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うおぬま・米ねっとHPより

 

利点として

①利用者にやさしい

-複数医療機関で受診している場合でも、情報共有することで検査や投薬の重複 を防ぎやすいので経済的。

-情報共有により、検査や投薬の情報が他の医療機関でもわかるもので、安心して治療を受けられる。

-無料

 

②救急医療現場で速やかな対応ができる

-搬送先で普段、飲んでいる薬や検査の結果がわかるので、いざというときの速やかな治療に役立つ。

 

というシステムがあるんだそうです。

はじめ見た時、素晴らしいシステムだなと思いました。実際H26.10月現在で12000人以上の人が登録しています。実際本稼働になったらどうなるんだろう・・・

 

個人情報の問題、稼働率の問題、医療者と患者の連携などどのようになっているのでしょうか。どんな課題があるのでしょうか。