耳鼻科診察をしているとまぶたや口びるなどが腫脹している患者さんに会いますよね。
他にも腸がむくんだり、手足がむくんだり、場合によっては、喉がむくんで(喉頭浮腫)、気管切開の緊急手術が必要になることがあります。
血管性浮腫にも色々な種類があります。
血管性浮腫:ドイツの医師クインケが報告したクインケ浮腫ですが、その中にはアレルギー性のもの、高血圧の薬(アンギオテンシン変換酵素阻害薬)によるもの、物理的刺激などありますが、今回は、遺伝性のものについて、まとめてみます。
まずはガイドラインから。日本補体学会が2014年に出したガイドライン。
遺伝性血管性浮腫 (HAE) ガイドライン(改訂 2014 年版) 日本補体学会
HAEには3つのタイプがあります
・ I型(HAE全体の85%)常染色体優性遺伝
C1インヒビタータンパク量低値、C1インヒビター活性低値
・ II型(HAE全体の15%)常染色体優性遺伝
C1インヒビタータンパク量正常または上昇、C1インヒビター活性低値
・ III型(稀)エストロゲン依存性、ほとんど女性に発症、病態の詳細は不明であるが、一部には凝固第XII因子の変異を認める。
C1インヒビタータンパク量正常、C1インヒビター活性正常
※家族歴のない孤発例は、HAE全体の約25%に認められているらしいです。
診断のアルゴリズムは以下のよう。
(堀内孝彦著「今日の診療サポート」エルゼビア・ジャパン社 より抜粋)
C4、C1インヒビター活性でスクリーニングし、
C1インヒビター定量でⅠ型(低値)、Ⅱ型(正常)を鑑別します。
また、後天性血管性浮腫との鑑別は難しいとされていますが、C1qが低値なら後天性血管性浮腫といわれています。※ただし、遺伝性のものでも低値を示すことがある。
そのため、確定診断のためには遺伝子検査をという流れです。
治療にはトラネキサム酸、C1インヒビター補充療法(ベリナート)というものなどがあります。
喉頭浮腫で気管切開になる例もあるので本当に注意して下さい。
こんなサイトもあるみたいです。
それでは。