Harris-Benedictの式-エネルギーはどれくらい摂ればいいの?-

医療者にとっては当たり前すぎる式ですが、一度ご紹介したいと思います。入院中の患者でエネルギーを摂るときなどに参考にしている式です。

つまり、患者の全エネルギー消費量(total energy expenditure : TEE)を求め、それを補うと考えればよいわけです。

投与エネルギーの決め方は次の式のように決めます。

TEE=BEE × activity factor × stress factor

                          (ニュートリー株式会社のHPより)

例えば170cm、70kgの60歳男性、歩行は可能、胆嚢手術後2日目で、臓器障害なし、熱傷なし、体温も正常範囲内とします。

BEEは66.57+13.75×70(kg)+5.0×170(cm)-6.76×60(歳)
=1473.37
となります。
active factorは1.2となり、
stress factorは1.2となります。

TEE=BEE × activity factor × stress factorなので
TEE=1473.37×1.2×1.2=2121.653 Kcal/day

となります。

自分のことですが、11月に食生活アドバイザーの資格試験を受けてから、カロリーとか、栄養素の表示を見るようになりました。
何がどれくらい入っているかとかはもちろんですが、表示の仕方の仕組みがわかり、食品選びが楽しくなりました。

受かっているといいな。

栄養ドリンクの成分-リポビタンDを参考にして-

栄養ドリンクの中身って、ぶっちゃけあんまりわかんないですよね。

カフェインを調べたついでに調べてみました。

カフェインに関しての前回記事→こちら

 

ものによってはタウリンとかアルギニンとか高麗人蔘とかあるけど、どうなんでしょうか。

 

なんとなく近くの薬局で有名どこのリポビタンDを買ってみました。

(大正製薬HPより)

 

ビタミンBが多く入っているんですね。

じゃあ、リポビタンDってなんだ?

リボビタンBでも良さそうだけど。

 

wikipediaさんによればこうらしいです。

デリシャスのDと、前製品のCの次ってことですか。

 

ちなみにビタミンBで、

推奨量は、ビタミンB1:推奨1.4mg/day、ビタミンB2:推奨1.6mg/day、ナイアシン(ビタミンB3):推奨15mg/day 上限350(85)mg/day←ニコチンアミド(ニコチン酸)、パントテン酸(かつてビタミンB5と呼ばれていた):目安5mg/day、ビタミンB6:推奨1.4mg/day 上限60mg/day、ビタミンB12:推奨2.4μg/day、葉酸(ビタミンM、ビタミンB9):推奨240μg/day 上限1000μg/day。

 

ニコチン酸アミドもビタミンB3の仲間ですね。

イノシトールもビタミンBの一種とされており、抗脂肪肝ビタミンと呼ばれており、脂肪肝や脂質異常症の治療に使われたり、セロトニンに関わっており鬱などに関わるものとして研究もされているみたいです。

ところで、

実際我々がどれくらいビタミン摂っているかのデータはこんなのがありました。

平成 29 年 国民健康・栄養調査結果の概要

全国民で考えると、少し足りていないんですかね。

僕は足りていそうですが・・・笑

 

あとはカフェイン50mg!!

推奨400mg(カフェインに関しての前回記事→こちら)としたら8本飲める?

いや、飲み過ぎか。

 

そして最後にタウリン。

タウリンは1000mg入っているみたいです。

ポケモンでいえば、攻撃力をあげるものってイメージ。

すっごくmoneyが高かった気が。

タウリンがミトコンドリア病に関係しているっていう論文もあるみたいです。

タウリンは1827年にウシの胆汁から発見されたそうで、ラテン語で雄牛を意味する「taurus タウルス」に由来しているそう。

肝臓や目に良いらしいですが、疲労にはどのように関わっているのでしょうか。

 

何か奥深いようでいろいろ今後も調べてみたいと思います。

それでは。

 

カフェインってどれくらい摂ってもいいの? 

僕の愛飲するモンスターエナジー。

味が一番好きな栄養ドリンクです。

ほぼ毎日飲んでいるんで、カフェイン量とか気になって調べてみると142mgとのこと。これは多いのか、少ないのか、一日どんなもん撮って大丈夫なのか、調べてみました。

 

カフェインの致死量は食品安全委員会(内閣府)によると、、、

カフェインの LD50(半数致死量:化学物質の毒性の指標)は、動物実験の結果を人に当てはめると55kgの人で約 11 g(11000mg)となるそうです。(50kg:10g 55kg:11g 60kg:12g 65kg:13g 70kg:14g)

これは、55kgに人は、モンスターエナジー1本のカフェインが142mg なので、約77本。

さすがにそんなには。

アメリカでは30代の男性が、18時間以内に1缶710ccのレッドブルを24本も飲んでしまったがために、亡くなったそうです。

日本でも2015年に20代男性の死亡例が出ているそうです。

では適正量はどうなんでしょう。

 

1日摂取許容量などは設定されていないようですが、推奨量などは決まっているそうです。

こちら

ちなみに厚生労働省の見解もよかったらどうぞ。

 

飲み過ぎには注意したいと思います。

それでは。

日本人の食事摂取基準-炭水化物ってどんなもんとれば良い?-

炭水化物ダイエットが流行っていますが、食事摂取でどれぐらい必要かなど調べてみました。

日本人の食事摂取基準(2015年度版)

現在2020年度版を策定中らしいが、2015年度のデータを抜粋してみます。

エネルギー(kcal/day)

たんぱく質(g/day)

脂質(%エネルギー)

炭水化物(%エネルギー)

またこれらの3大栄養素の栄養素のバランスは以下となっています。たんぱく質、炭水化物は4kcal/g、脂質は9kcal/gのエネルギーとなります。

炭水化物の割合は推奨では50-65%となっていますね。

あとで示しますが、いろんな論文が出ていて、議論があるみたいですね。

2020年度版もどのように改定されるか楽しみです。

食物繊維(g/day)

ビタミン脂溶性ビタミンのビタミンA、ビタミンD、ビタミンE、ビタミンK、水溶性ビタミンのビタミンB1、ビタミンB2、ナイアシン(ビタミンB3)、ビタミンB6、ビタミンB12、葉酸(ビタミンM、ビタミンB9)、パントテン酸(かつてビタミンB5と呼ばれていた)、ビタミンCの基準も載っています。

ミネラル多量ミネラルのナトリウム(食塩相当量)、カリウム、カルシウム、マグネシウム、リン、微量ミネラルの鉄、亜鉛、銅、マンガン、ヨウ素、セレン、クロム、モリブデンも載っています。

参考に例えば30歳の男性がどれくらいとればいいのかを列挙します。

エネルギー:2650kcal/day

たんぱく質:60g/day

脂質:20-30%エネルギー 飽和脂肪酸:7%エネルギー以下 n-6系脂肪酸:10g/day n-3系脂肪酸:2.1g/day

炭水化物:50-65%エネルギー

食物繊維:20g/day以上

脂溶性ビタミン

ビタミンA:推奨900μgRAE/day 上限2700μgRAE/day

ビタミンD:目安5.5μg/day 上限100μg/day

ビタミンE:目安6.5mg/day 上限900mg/day

ビタミンK:目安150μg/day

水溶性ビタミン

ビタミンB1:推奨1.4mg/day

ビタミンB2:推奨1.6mg/day

ナイアシン(ビタミンB3):推奨15mg/day 上限350(85)mg/day←ニコチンアミド(ニコチン酸)

ビタミンB6:推奨1.4mg/day 上限60mg/day

ビタミンB12:推奨2.4μg/day

葉酸(ビタミンM、ビタミンB9):推奨240μg/day 上限1000μg/day

パントテン酸(かつてビタミンB5と呼ばれていた):目安5mg/day

ビタミンC:推奨100mg/day

多量ミネラル

ナトリウム:食塩相当量8.0g未満

カリウム:目安2500mg/day 目標3000mg/day

カルシウム:推奨650mg/day 上限2500mg/day

マグネシウム:推奨370mg/day

リン:目安1000mg/day 上限3000mg/day

微量ミネラル

鉄:推奨7.5mg/day 上限55mg/day

亜鉛:推奨10mg/day 上限45mg/day

銅:推奨1.0mg/day 上限10mg/day

 

2017年にLancetから出た論文が議論になっていますね。

決して炭水化物ダイエットの内容ではないですが・・・

食生活アドバイザーっていう資格もあるみたいですね。

これを気にラーメン三昧の自分の食生活を見直してみようと思います。

それでは。

薬剤耐性菌-いつか菌に支配される?-

患者「先生、風邪ひいたんでで、抗菌薬ください」

こうゆう患者さんは外来やっててたくさん来ます。

詳細は今回は載せませんが、一般的に風邪って抗菌薬が効きません。風邪はウイルスで風邪のウイルスに効く薬はないんです。それに医者は自分自身で、風邪で抗生剤は飲みません。対症療法しかできません。

しかし、実際は抗生剤が出されている現実、また間違った使い方をしている現実、、、このことが薬剤耐性菌を生むことになるのです。

新聞には耐性菌のことがよく載っていますね。

新しい抗菌薬が開発されると耐性菌が生まれ、それに対する抗菌薬が開発され・・・のいたちごっこ。

スーパー耐性菌「 MCR-1 」というものが出てきて、最強の抗生剤と言われているコリスチン(オルドレブ)でも効かなくなっている。

いつかは菌に人間がやられてしまう日が来てしまうのだろうか。

2050年には耐性菌による死亡が悪性腫瘍を超えると言われている。

(厚生労働省 人口動態統計月報年計(概数)の概況より)

 

そのために、耐性菌を生まないように医療者・患者ともに努力していなければならない。

薬剤体積んが増える理由は

①同じ薬剤の長期間投与

多数の感受性株が駆逐されて耐性株が残る→耐性菌発生率が増加

②薬剤の低濃度投与

病原菌が抗菌薬に徐々に慣れる→細菌や耐性を獲得しやすい環境となる

③治療直前での薬剤中止

感染症再発→耐性菌出現の恐れ

 

患者は医療のリテラシーをあげること!

医療者は適切に抗菌薬を使うこと!

終末期医療-人生のラストページ-

耳鼻科でも終末期医療を扱う科として、大きな選択を迫られる時が多い。

末期の患者さんが今後どう過ごすか、何を大切にして行きていくか・・・

それと同時に医療者もどのような提案ができるか。

答えは一つではないし、ガイドラインで決められるものではないですが、興味のある人は見てみてください。

 

厚生労働省

「人生の最終段階における医療・ケアの 決定プロセスに関するガイドライン」 

人生の最終段階における医療・ケアの 決定プロセスに関するガイドライン 解説編

 

日本医師会

終末期医療に関するガイドライン

超高齢社会と終末期医療

 

全日本病院協会

終末期医療に関するガイドライン

 

日本救急医学会・日本集中治療医学会・日本循環器学会

救急・集中治療における終末期医療に関するガイドライン〜3学会からの提言〜

 

日本小児科学会

重篤な疾患を持つ子どもの 医療をめぐる話し合いのガイドライン

 

また疼痛管理、輸液、副作用などに関しても日本緩和医療学会からガイドラインが出ています。

日本緩和医療学会→こちら

がん疼痛、鎮静、消化器、呼吸器、輸液、泌尿器、補完代替医療、患者・家族ガイド

があります。

 

また医療者は緩和ケアに関しても講習をうけ、最適な医療を提供できるように学ぶ研修会もあります。

PEACE PROJECT 

緩和ケア講習会の資料もダウンロードできます。テキスト

 

それでは。

熱中症・経口補水液・電解質なども含めて

2018年7月は日本で過去最高の気温を記録したことでも有名で、今回は熱中症、また脱水に伴って、電解質に関してもちょこちょこまとめてみました。

最高気温ランキング!!

(気象庁HPより)

すごいですよね・・・トップ10に今年だけで3つも新記録が・・・・!!

 

熱中症のガイドラインも出ています。

日本救急学会が出しているガイドラインです。

熱中症診療ガイドライン2015 日本救急学会

 

ここでは熱中症の分類と治療も表になって載っています。

 

 

●脱水には水分だけでなく、電解質の補給も。

そもそも脱水のときは水分だけでなく、電解質(NaやKなど)も失われています。電解質も補給する必要がある。

 

●糖も補給する。

小腸でブドウ糖:ナトリウム=1:1で吸収される。

ブドウ糖濃度1-2.5%が水吸収の至適濃度 (slanden and Dawson 1969)

Na+とブドウ糖のモル濃度比が1:1-2が水吸収の至適 (Santosham 1982)

血清浸透圧より低いほうが水・電解質の吸収が良い (Hunt 1992)

→Na+とブドウ糖のモル濃度比が1:1-2 かつ 血清浸透圧より低い のがベスト

(谷口 2015)

ポカリスウェットとかは美味しいけど、糖が多く、浸透圧が高いということかな。

かといって、昔サッカーやってる時みたいにポカリを薄めて薄めて薄めて飲むのは糖は希釈されるけど、Naも希釈されて、バランス悪くなると考えると、、、、

 

環境省のホームページにも熱中症など詳しくあるのでよかったらぜひ。

環境省ホームページ 熱中症予防サイト

暑さ指数(WBGT)に関し詳しく載っています。

また熱中症環境保健マニュアル2018はこちら→クリック