遺伝性症候群性難聴、内耳奇形

もうすぐ専門医試験ですね。

今回は、遺伝性症候群難聴、内耳奇形に関してまとめてみます。

専門医通信にも取り上げられていました。

2015年 118巻2号

遺伝性症候群性難聴の診断と取り扱い 自治医科大学とちぎ子ども医療センター小児耳鼻咽喉科 伊藤真人先生

演習問題

そこには

1.外耳の異常を伴うもの

2.外耳の異常にそのほかの異常を伴うもの

・鰓弓耳腎症候群(Branchio-oto-renal syndrome (BOR))

3.眼の異常を伴うもの

Usher症候群難病センターHP

感音難聴と網膜色素変性症

常染色体劣性遺伝

2020年 123巻5号

指定難病としてのアッシャー症候群 国立障害者リハビリテーションセンター病院耳鼻咽喉科 石川浩太郎先生

4.筋・骨格疾患を伴うもの

Van der Hoeve 症候群(バンデルヘーベ)骨形成不全症の難病センターHP

易骨折性、青色強膜、難聴

常染色体優性遺伝

・Treacher Collins症候群

頬骨・上眼窩縁の低形成による特徴的な顔貌を呈し,下がり目,頬骨部の陥凹耳介奇形としばしば外耳道閉鎖や中耳・耳小骨奇形を伴う

5.皮膚とその付属器疾患を伴うもの

Waardenburg(ワールデンブルグ)症候群

難聴、虹彩色素異常、皮膚や毛髪の色素異状を伴う

常染色体優性遺伝

6.腎疾患を伴うもの

Alport 症候群難病センターHP

7.神経疾患を伴うもの

・神経線維種症は多発性の神経線維腫と色素班を主徴とするもの

末梢神経および皮膚の病変が主体 (末梢型)の神経線維腫症Ⅰ型(von Recklinghausen 病 : NF1)

頭蓋内など中枢に腫瘍を形成する中枢型の神 経線維腫症Ⅱ型(NF2)

8.そのほかの疾患を伴うもの

Pendred症候群難病センターHP

前庭水管拡大症による難聴と、ヨウ素有機化障害を伴う甲状腺腫を合併したもの

・ミトコンドリア脳筋症

MELAS、MERRF、Kearns―Sayre 症候群が代表的

・ムコ多糖症

と、ありました。

次に内耳奇形の分類に関してです。

2015年 118巻8号

内耳奇形の画像診断 神戸市立医療センター中央市民病院耳鼻咽喉科 内藤泰先生

演習問題

難しいですね。

それでは。

 

耳鼻咽喉科-聴力検査編-

耳鼻咽喉科で行う検査についてまとめました。

●聴力検査系

新生児聴覚スクリーニングマニュアル(2015年)  日本耳鼻咽喉科学会

AABR

OAE

田中・進藤式 耳のきこえと発達のチェック

ASSR(Auditory Steady State Response、聴性定常反応):新生児期以降

・各周波数を測定できる(低音も測定できる)

・骨導も測定できる

・両耳同時測定できる

・SAM音、MM音を用いる

ABR(Auditory Brainstem Response、聴性脳幹反応):新生児期以降

・Ⅰ波は蝸牛神経、 Ⅱ波は蝸牛神経核(延髄)、Ⅲ波はオリーブ核(橋)、Ⅳ波は外側毛帯(橋)、Ⅴ波は下丘(中脳)・1つの周波数しか測定できない

・クリック誘発の反応は2000-4000Hzの反応を反映(低音は信頼性が低い)

・低音にはトーンピップを使用するが、信頼性は高くない

聴性定常反応検査(ASSR)とその活用について 山形大学医学部耳鼻咽喉・頭頸部外科学講座 伊藤吏先生(2015年 専門医通信)

BOR(Behavioral Observation Audiometry、聴性行動反応検査):3-6ヶ月

COR(Conditional Orientation Audiometry、条件詮索反射聴力検査):6ヶ月-3歳

Play(play audiometry、遊戯聴力検査):3-5歳

barr法とピープショウテスト(peep-show-test)がある

PTA(Pure Tone Audito 標準純音聴力検査):幼児期以降

随時更新予定。

耳管機能障害-耳管狭窄症、耳管開放症-

ダイビングにちなんで、耳管機能障害に関してまとめていこうと思います。

耳と鼻をつなぐ管(耳管)の障害が起こると様々な障害がでてきます。

ちなみに学会からは以下のガイドラインが出されています。

耳管機能検査⇨耳管機能検査マニュアル(2016) 日本耳科学会(2016)

耳管狭窄症⇨耳管狭窄症診断基準(2016) 日本耳科学会(2016)

耳管開放症⇨耳管開放症診断基準案(2016) 日本耳科学会(2016)

耳管狭窄症に関して

広義の耳管狭窄症

・定義:耳管の開大不良や狭窄により起こる中耳病態または耳症状

・診断の要件:①+②+③ ( ただし①+②=疑い例とする)

① 耳管が機能的または器質的に開きにくい。

「機能的」:耳管が通気などで受動的には開きうるが、嚥下時に開きにくい状態(能動的開大障害)。

「器質的」:耳管が通気や逆通気などで受動的に開きにくい状態(受動的開大障害)。

②慢性的(3か月以上遷延する)中耳病態または耳症状がある。

中耳病態:滲出性中耳炎、慢性中耳炎、鼓膜換気チューブ留置後の残存鼓膜穿孔、鼓膜陥凹(ティンパノグラムC2またはB)、鼓膜癒着症、真珠腫(術後を含む)、コレステリン肉芽腫など。

耳症状:飛行機搭乗、登山、トンネルに入る、等の気圧変化時に耳痛・耳閉感などを訴える。普段は鼓膜は正常またはほぼ正常である。

③ 耳管閉鎖障害が否定される。

狭義の耳管狭窄症

・定義:耳管が器質的に狭窄しているために起こる中耳病態または耳症状

・診断の要件:広義の要件①②③を満たし、さらに以下④を満たす。

④ 耳管の受動的開大圧(正常値 150-550 daPa)が高く(>800daPa)かつ用手で行う逆通気が通らない。

副鼻腔炎などが原因の時は鼻治療を行い、また症状が強い場合は鼓膜チューブ挿入術を行うこともあります。

耳管開放症に関して

・診断の要件:①+②+③ ( ただし①+(②or③)=疑い例とする)

①自覚症状がある自声強聴、耳閉感、呼吸音聴取の1つ以上

②耳管閉塞処置(AまたはB)で症状が明らかに改善する 

A. 臥位・前屈位などへの体位変化

B. 耳管咽頭口閉塞処置(綿棒、ジェルなど)

③開放耳管の他覚的所見がある(以下の1つ以上)    

A. 鼓膜の呼吸性動揺   

B. 鼻咽腔圧に同期した外耳道圧変動

C. 音響法にて①提示音圧100dB未満 または②開放プラトー型

急な体重減少による場合は生活指導や各種精査、また漢方(加味帰脾湯など)を使うこともあります。

また耳管ピンというものを挿入する手術もあります。

 

それでは。

耳鼻咽喉科関連癌ステージ分類一覧

耳鼻咽喉科関連癌のステージと治療のまとめ

①口腔癌(舌癌) 亜部位:頬粘膜、上歯槽、下歯槽、歯肉、硬口蓋、舌、口腔底

②上顎洞癌

③上咽頭癌 亜部位:後上壁、側壁、下壁

④中咽頭癌 亜部位:前壁、側壁、後壁、上壁

⑤下咽頭癌 亜部位:梨状陥凹、後壁、輪状後部

⑥喉頭癌 亜部位:声門上部、声門、声門下部

⑦甲状腺癌

⑧唾液腺癌(耳下腺癌)

⑨原発不明癌

(2018年 頭頸部癌診療ガイドラインより)

⑩頭頸部粘膜悪性黒色腫

チェジュダイビング-耳管機能障害ガイドライン-

やっぱりリゾートいろんな所行きましたが、沖縄が一番綺麗だと思う。

沖縄、石垣、宮古など色々みましたが、高いですねー。

チェジュの方が遠いのに、そっちのがはるかに安いっていう。。。

ということで、アジアのハワイって言われている韓国のチェジュに行ってきました。


目的はダイビング。

PADIのスペシャリティで水中写真とか色々やってみようと思ったけど、韓国語わかんないし、英語でやってくれるところも探した中ではなくて断念。

前から興味あったGoProをレンタルして行ってまいりました。

GoProはじめて使ったけどかなり広角でアップできないから撮るのが難しい。

ごはんも定番のトッポッキやらクッパやら黒豚やらあって、またみかんも有名みたいです。

やっぱダイビングしたんで、耳抜きに関係する耳管に関してのガイドラインを紹介したいと思います。

耳管機能検査に関して⇨耳管機能検査マニュアル(2016) 日本耳科学会(2016)

耳管狭窄症⇨耳管狭窄症診断基準(2016) 日本耳科学会(2016)

耳管開放症⇨耳管開放症診断基準案(2016) 日本耳科学会(2016)

 

少しずつ今後は細かくまとめていきたいと思います。

それでは。

 

PADI Advanced Open Water-ダイビングと耳ぬき-

伊豆で2日間でアドバンス、ゲットしてきました。

あいにくの大雨でボートも出ず、にごりもありで少し残念でしたが、まぁ良しとしましょう。

耳鼻科医としては耳抜きも関係あるのでーといろいろ見てたら、こんなまとめてあるサイトがありました。

サイトへ

Marine Diving web 三保先生の記事
第1回 耳ぬき不良はなおる! 耳ぬきってなに??
第2回 耳ぬき不良はなおる! 耳ぬき不良の“都市伝説”
第3回 耳ぬき不良はなおる! 耳ぬき不良による障害 その1 中耳気圧外傷  
第4回 耳ぬき不良はなおる! 耳ぬき不良による障害 その2 外リンパ瘻 
第5回 耳ぬき不良はなおる! 耳ぬき不良の診断
第6回 耳ぬき不良はなおる! 耳ぬき不良の訓練と治療

すごくわかりやすくまとめてあり、非医療者も参考になると思います。

また、カードですが、PROJECT AWAREという地球・海を守るための寄付をすれば限定のカードに変更できます。毎年違う柄で今年はジンベエザメです。
かっこいい!!

カードの到着を待ちたいと思います。
次は海外でダイブ!!

人工内耳-音のある世界を-

人工内耳に関して概略します。

補聴器の効果がない難聴児の耳の代わりとなるものです。

音のない世界に音を生み出す人工内耳。

素晴らしいものではないですか?

(コクレア社のHPより拝借)

通常音は、①の外耳道から入り、鼓膜を振動させ、②の耳小骨に伝わり、③の蝸牛に伝わります。その中の有毛細胞の振動により脳に聴神経を通り信号を送ります。

一方、人工内耳は①②のサウンドプロセッサのマイクロフォンが音を拾い、デジタル信号に変換し、皮膚の下のインプラントに送ります。

それをインプラントが電気インパルスに変換し、蝸牛内の電極アレイに送ります。その電極が聴神経を刺激し、脳に伝えます。

 

以下の3つの会社が有名であり多くのシェアを閉めています。

Cochlear コクレア社

スピーチプロセッサ:Nucleus 6(耳掛け型)/KANSO(コイル一体型)

インプラント:Profile 電極24(アース含む) チャンネル22

MEDEL メドエル社

スピーチプロセッサ:SONNET(耳掛け型)/OPUS(耳掛け型)/RONDO(コイル一体型)

インプラント:CONCERTO 電極(FLEXシリーズ)19 チャンネル12

Advanced Bionics アドバンスト・バイオニクス社

スピーチプロセッサ:ナイーダCI(耳掛け型)/ハーモニー(耳掛け型)/ネプチューン(水泳可能)

インプラント:ハイレゾ90KTM アドバンテージ 電極(ハイフォーカスミッドスカラ、1j) チャンネル16

 

人工内耳の適応に関しては以下の通りです。

成人の場合

  • 裸耳での聴力検査で平均聴力レベル(500Hz、1000Hz、2000Hz)が90dB以上の重度感音難聴 平均聴力レベルが70dB以上、90dB未満で、なおかつ適切な補聴器装用を行った上で、装用下の最高語音明瞭度が50%以下の高度感音難聴
  • 蝸牛に電極が挿入できるスペースがある医学的に全身の問題がなく、手術可能である
  • 言語習得後に失聴の場合両耳聴の実現のため人工内耳の両耳装用が有用な場合にはこれを否定しない
  • 上記以外の場合でも患者の背景を考慮し、適応を総合的に判断する事がある

成人人工内耳適応基準2017 日本耳科学会

小児の場合

  • 原則1歳以上(体重8kg以上)
  • 以下のいずれかに該当する場合
    (1)裸耳での聴力検査で平均聴力レベルが90dB以上
    (2)上記の条件が確認できない場合、6カ月以上の最適な補聴器装用を行った上で、装用下の平均聴力レベルが45dBよりも改善しない場合
    (3)上記の条件が確認できない場合、6カ月以上の最適な補聴器装用を行った上で、装用下の最高語音明瞭度が50%未満の場合
  • 家族の継続的な協力が見込まれる
  • 療育機関との密接な連携が保たれる
  • 両耳聴の実現のために人工内耳の両耳装用が有用な場合にはこれを否定しない

小児人工内耳適応基準2014 日本耳鼻咽喉科学会乳幼児委員会

以前載せた術後の注意点です。

手術してもすぐに聞こえるというわけでは無いんです。

そこから調整・リハビリを繰り返し、自分のものとしていくわけです。

 

最後にyoutubeに人工内耳に関してのものがあったので。

次回は違う観点からまとめていきます。

それでは。

耳鼻科における真菌感染症-外耳道、副鼻腔炎-

耳鼻科における真菌(カビ)の感染症。外耳道真菌症、真菌性副鼻腔炎などありますが、簡単にまとめてみました。

まず、真菌は糸状菌と酵母に分けられます。糸状菌は菌糸状の真菌で長い1本の菌糸が分岐しながら増殖するもので、酵母は丸く単細胞性で出芽や分裂によって増殖するものです。

糸状菌にはアスペルギルス(Aspergillus)、白癬(Trichophyton)、ムコール(Mucor)などがあり、

酵母にはカンジダ(Candida)、クリプトコッカス(Cryptococcus)、トリコスポロン(Trichosporon)などがあります。

採血で細胞壁の成分であるβ-Dグルカンというものが上昇することが多いですが、非侵襲性病変(食道カンジダなど)やクリプトコッカスでは上昇しません。

 

治療薬は以下のようなものが使われます。

(病気がみえる 免疫・膠原病・感染症 より)

 

耳鼻科領域では副鼻腔炎、外耳炎などに真菌が関与することがあります。

真菌性副鼻腔炎の分類は以下のようになっています。

組織に浸潤して致命的になる浸潤性の副鼻腔炎は免疫が落ちている患者に起きやすいことが知られています。また非浸潤性のものは割合が髙く片側に起きることが多いです。癌や歯性副鼻腔炎との鑑別が大切になります。

またアレルギー性真菌性副鼻腔炎(AFRS)の診断基準です。真菌を認めるものの,浸潤性の副鼻腔真菌症のように鼻副鼻腔粘膜への浸潤を認めない点が AFRS の特徴です。

治療も侵襲性では、薬物療法も行いますが、非侵襲性では真菌の除去だけで抗真菌薬は使いません。以下侵襲性アスペルギルス症のフローチャートです。

(深在性真菌症の診断・治療ガイドライン より)

 

外耳炎に関しては、外耳道真菌症で白色粥状などの耳漏が出てくることがあります。糖尿病、免疫不全、ステロイド長期使用中の人などがなりやすいです。

まずは徹底的に洗浄、そして、お薬を使うときもあります。

耳鼻科で処置方法を教えてもらいましょう。

 

参考にガイドライン紹介。

深在性真菌症の診断・治療ガイドライン2014 深在性真菌症のガイドライン作成委員会

以下は2007年度ver。

第1章 深在性真菌症の診断と 治療のフローチャート        耳鼻科分野はP28-29

第2章 深在性真菌症の疫学、 診断法および治療戦略

第3章 深在性真菌症の診断と治療 のフローチャート解説  耳鼻科分野はP118-120

一般医療従事者のための深在性真菌症に対する抗真菌薬使用ガイドライン 日本化学療法学会